2015年8月5日水曜日

非営利活動の権利性

 営利法人が、非営利活動により無償で配信されているメールマガジンを盗用して、自らの有料会員向けのメールマガジンのコンテンツとしていた、という、著作権関係の裁判に弁護団の一員として関わることになり、昨日提訴をして、記者会見を行った。

http://www.bengo4.com/saiban/1139/n_3501/

 法律的には、著作権侵害の問題が主になるが、この事件は、非営利活動による成果物を、非営利活動の趣旨から外れて、営利に利用されていたという点に、大きな問題があると考えている。

 「早川代表は、弁護士ドットコムの取材に対し、小竹さんのメールマガジンをコピーして利用していたことを認めつつ、「問題だとは思っていなかった」と話した。」とのことである。原告が「問題だとは思っていなかった」などと発言しているのは、個人が非営利で発行しているメールマガジンであるために、その権利性を軽く見ているためとしか思えない。もし、被告が盗用したメルマガが有償であったり、営利企業が発行しているものであったら、ほぼ全てをコピー&ペーストをしながら、「問題とは思わない」などという言い逃れをしようとすることはなかったのではないだろうか。

 非営利(無償)であるが故に、発行している者の権利性が低く見られることは、本件に限られたことではないが、これまで訴訟となっている例は、ほとんどないものと思われるので、相手の反論や裁判所の判断が楽しみだ。
 
 なお、記者会見においても、無償で提供しているものの盗用による損害をどのように考えるかについての質問があったが、「無償で提供されていること=無価値なもの」ではない以上、その価値をどのように考えるかはともかく、無償提供の条件に反した使用をされた場合に損害を観念することができることは当然だと考える。