2015年8月5日水曜日

非営利活動の権利性

 営利法人が、非営利活動により無償で配信されているメールマガジンを盗用して、自らの有料会員向けのメールマガジンのコンテンツとしていた、という、著作権関係の裁判に弁護団の一員として関わることになり、昨日提訴をして、記者会見を行った。

http://www.bengo4.com/saiban/1139/n_3501/

 法律的には、著作権侵害の問題が主になるが、この事件は、非営利活動による成果物を、非営利活動の趣旨から外れて、営利に利用されていたという点に、大きな問題があると考えている。

 「早川代表は、弁護士ドットコムの取材に対し、小竹さんのメールマガジンをコピーして利用していたことを認めつつ、「問題だとは思っていなかった」と話した。」とのことである。原告が「問題だとは思っていなかった」などと発言しているのは、個人が非営利で発行しているメールマガジンであるために、その権利性を軽く見ているためとしか思えない。もし、被告が盗用したメルマガが有償であったり、営利企業が発行しているものであったら、ほぼ全てをコピー&ペーストをしながら、「問題とは思わない」などという言い逃れをしようとすることはなかったのではないだろうか。

 非営利(無償)であるが故に、発行している者の権利性が低く見られることは、本件に限られたことではないが、これまで訴訟となっている例は、ほとんどないものと思われるので、相手の反論や裁判所の判断が楽しみだ。
 
 なお、記者会見においても、無償で提供しているものの盗用による損害をどのように考えるかについての質問があったが、「無償で提供されていること=無価値なもの」ではない以上、その価値をどのように考えるかはともかく、無償提供の条件に反した使用をされた場合に損害を観念することができることは当然だと考える。





 

2015年7月3日金曜日

事務所を移って3ヶ月

事務所を移り、いわゆるイソ弁から独立して業務を行うようになって3ヶ月経ち、ようやく新しい環境での環境が整い、仕事のリズムが見えてきた気がする。
まだ、巡航速度とまではいかないが、先月くらいから、本を読む余裕も出てきた。

このブログも放置していたが、少しマメに、法律などにこだわらず、更新をしてゆきたい。

一人で仕事をしていて感じるのは、雑用が増えるため、意識してタスク管理する必要性が高くなっていることだ。

組織で仕事をするのと異なり、自分がやらなければそのままになる細かなことが色々と出てくる。
 やらなくても問題がないのであれば、それは不要な仕事だと考えることもできるが、やはり、なんとなく「やらないとな」という気持ちは、心のどこかに澱のようにたまり、重荷になる。このブログを書くことなどが典型だ。

また、私は書面作成に時間がかかるので、一人で仕事を進めるためには、個々の業務の効率を上げて、考え、書くことになるべく時間をかけたいという気持ちもある。

 これまでも、GTDの本などを読み、つまみ食い的に一部取り入れてきてはいたが、継続できるような自分なりのシステムを考えたい。

2015年4月3日金曜日

弁護士会周りの事務手続きの非効率

 4月1日から所属する事務所を変わったため、昨日、今日と手続きに回った。
 弁護士会へ登録事項変更届をしなければならないのはわかるが、その手数料が2000円というのは、どんなコスト計算なのかしらないが、高すぎないだろうか?
 ちなみに、事務所を変わったことにより身分証明書を再発行するためには、更に3000円以上の手数料を支払わなければならない。

 また、手数料はかからないものの、弁護士協同組合や法テラスなどへの届出が、それぞれ必要になる。同じ弁護士会館の中に事務所があるのだが、それぞれに変更届を出さなければならないのは、なんとも非効率だ。
 弁護士の所属事務所に関する情報はもともと日弁連が公開しているのだから、事務所の異動など、公開されている情報の変更については、弁護士会が関係する機関に情報を提供するようにして、ワンストップサービスを実現することは容易なはずだ。
 ワンストップサービスにより、それぞれに変更届をださなければならないという非効率な状況の解消と情報の不整合の可能性を減らす効果が見込まれる。2000円もの手数料をとるのだから、見合ったサービスの提供をしてほしい。
 もちろん、中には、情報提供をしてほしくないから全て自分で手続をしたいという人もいるだろうから、弁護士会での変更届に、ワンストップサービスのための情報提供を望まない場合にマークする欄を設ける必要はあるだろうが、多くの弁護士にとっては、手間が省ける方が望ましいのではないだろうか。

2015年3月27日金曜日

フランスでのドイツ機の墜落事故

痛ましい事故が起きた。

 報道では、副操縦士が故意に墜落させたようだと流されているが、一方で、直前まで機長と普通に話をしていたなど、事件を起こす兆候や動機が見られないとの情報もある。

 ふと思ったのが、副操縦士が後催眠暗示をかけられた可能性もあるのではないか、ということである。
 操縦士がトイレに行くのをトリガーにして、テロが起きたから操縦室をロックしたうえで、安全のために高度を下げなければならないという誘導をすれば、今回の事件のようなことも起こし得る。つまり、副操縦士は正しい操作をしたと考えて今回の事件を起こした可能性も考えられるのではないか。
 小説か漫画の世界のような話だが、テロの手段となり得ることを考えれば、万一の可能性として排除をせずに、副操縦士の搭乗前の行動などを捜査(調査)をすべきだと思う。

(3/29追記)
 報道によると、副操縦士に健康上の問題があり、仕事を休むように医師から指示されるなどしていたようである。
 飛行機が好きな人間が、飛行機を道具にして、他の人を巻き込んで自殺したとしたら、あまりに悲しいことだ。

2015年3月20日金曜日

国立国会図書館

 弁護士には様々な分野の相談が寄せられ、中には、専門的な知識が関係するものもある。

 建築の瑕疵や医療事故などの相談では、技術的なことがある程度わからないと、何が問題なのかも分からず、そうすると、どのような解決としてふさわしいのかを考えることもできない。

2015年3月1日日曜日

破産管財人研修

 今日は、10時から15時まで、管財人名簿に新たに登録するために必要な東京三会の破産管財人研修に出席した。
 弁護士会2階の会場はほぼ満席で、3階の別室で受講していた人もいるようなので、受講者、つまり新規に登録しようという出席者の数は500人以上だろう。

 東京地裁での申し立て経験も配点を決める要素になるらしいが、私は、他県の裁判所への申立は何度かあるものの、東京地裁への破産申し立ては1回しかしたことがないため、名簿に登録はできても、実際に自分に配点があるのは、いつになるやらという感じになっている。

 研修自体は、具体的に発生しやすい問題点なども説明され、申立をする立場としても有用な点もあった。結局は、必要な手続きを速やかに確実に行うことと、法令や「破産管財人の手引き(第2版)」をよく読んで考えて、考えても迷う場合には裁判所に確認することが、繰り返し強調されていたように思う。

2015年2月20日金曜日

登記・供託オンラインシステム(登記ねっと 供託ねっと)・登記情報提供サービス(法務省)

 今回は、法務省が提供する、登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと 供託ねっと)について書いてみます。
 平成23年から開始された新しいサービスであり、弁護士業務の中で自分自身で登記事務をすることも少ないことから、私もまだ数回しか使用したことがありませんが、担保の供託や成年後見などにも使えるため、今後は利用の機会が増えるものと考えています。